一 香雲深く立ちこめて 人三春の行楽に 迷ひし夢の今覚めて 松の緑に風そよぐ ここ城北の荒磯に 力試さむ桜男よ 二 沖漕ぐ舟を望む時 岸うつ波の音も高く 渦まき返すそが中に 力勝れる若武者よ 桜をかざし勇ましく ほほゑみ立てる桜男よ
三 虎嘯きて風を呼び 竜躍り来て雲起す 男子の血潮漲れる 刃に向う敵もなし ああわれ勝てりわれ勝てり いざや称へん桜男よ